「すぐ普通になる~」にはちょっと厳しい新型プリウスPHV


2017年2月に発売された新型プリウスPHVのキャッチコピーは、

「すぐ普通になる。今は特別なプリウス。」

このキャッチコピーには、今ではごく普通になったHV(ハイブリッド)と同等以上にPHVが普及してほしい。

そんなメーカーの思いも込められているようです。


 

PHVは今トヨタが一番売れてほしいクルマ

世界初の量産型HVとしてプリウスが発売されたのが1997年12月。
今から約20年前のことですがトヨタの予想をはるかに超えてHVは大ヒットとなり、 今ではどのメーカーもラインナップに加えるまでにHVは浸透しています。

しかしながら主力販売先の米国12州の環境規制である「ZEV規制」の対策車として2018年から、HVは除外されることとなりました。
(※PHVは準ZEV対策車として存続)

また、欧州では世界一厳しい燃費規制「2021年欧州CO₂規制」が始まります。
この規制にはPHVをEV走行可能距離に比例して大きく優遇する措置が取られており、もともとHVの人気がない欧州でもPHVへの注目が集まってきています。

このようにHVは次期環境対策車としては「過去の存在」になろうとしており、HVを主力商品とするトヨタは今後、PHVへ早期に比重を移していきたい状況にあります。

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新型プリウスPHVの前途は多難

PHVとHVを比較して、そのメリットは何といってもEV走行距離(電気モーターのみでの走行距離)の長さ。

新型プリウスPHVのカタログ上のEV走行距離が68.2km。
実EV走行距離が約50kmとすれば、ガソリンを使用せずとも充電のみで通勤・買い物程度であれば可能で燃料代はHVと比べてもかなり格安となります。
 

しかし、そのメリットと引き換えに支払った代償は大きいものでした。

 
まず、第一に車両価格。
プリウスのPHVとHVを同様なグレードで比較した場合の価格差は、PHVの補助金 96,000円を差し引いても約100万円。
大容量となった駆動用バッテリーや充電装備等がPHVの車両価格を引き上げています。
 

そして、第二に利便性。
HVがここまで普及した理由の一つには、従来のガソリン車と変わらない利便性にありました。
それはスタンドでガソリンを給油さえすれば長距離を移動できたこと。

新型プリウスPHVの場合、HV走行や日産・e-POWERのようにエンジンは発電のみを行いEV走行するといった「チャージモード」などバッテリー残量が無くなったとしてもガソリンを使用して走行が続行できるという安心感が付加されています。

ですが、せっかく高価で大きいバッテリーを積んでいるのですから、静粛性の高い純EV走行を有効活用しないことには利用価値が薄れてきます。
そしてそれには、「電気コンセントから外部充電する」という行為が必要となってきます。

新型プリウスPHVの場合、
● 100Vの家庭用電源で満充電まで、約14時間。
● 200Vで満充電まで、約2時間20分。(※専用の配線工事は必要)
● 充電スタンドなどの急速充電機で、約20分(※この場合は満充電の80%まで)

これだけの時間を掛け充電というひと手間が必要となります。
そうは言ってみたものの一戸建てに住んでいる限り、まだこの程度の手間ならば構わないと思える範疇。

ですが、問題はマンションなどの集合住宅に住居している場合。
約4割と言われる集合住宅に住む国内の方が、家庭に充電設備がほとんど無い状況ではPHVの恩恵は薄いこととなります。
 

PHVを「プリウス」として売るやり方は正しかったか

さて、旧型プリウスにもPHVがありましたが売り上げはサッパリでした。
その理由として、
● EV走行距離が26.4kmと少なかった
● HVとほとんど同じスタイルで優位性を感じない

この反省点として新型プリウスPHVは、EV走行距離を倍増し、その為に大型となった駆動用バッテリーを収める必要で長くなったボディを逆手にとり、HVとは若干違うエクステリアに仕立てHVより「上級車」という位置付けにしています。

更にEV走行での最高速度アップなど様々な改良をしてきており、新型プリウスPHVに掛けるトヨタの力加減は相当なものですが、この先PHVが「普通になる」かはかなり不透明といえます。

今までHVを牽引したのは欧州でも無く米国でも無く、日本国内のユーザーでした。果たして、高額な車両価格と使い勝手に難点があるPHVでも国内ユーザーが牽引してくれるのか・・・

 
勝算は低いものの、今のトヨタにはPHVをやるという選択肢しかない状況といえます。しかしながら、
「PHVをプリウスで売る」というやり方が正しかったかは疑問が残ります

購入検討の際どうしても同じ名前が付く、プリウスHVとプリウスPHVとを比較したくなります。
そうなると、たいして外見が変わらないクルマに約100万円を上乗せして購入するのか?という心理状態になってきます。

ここは、PHV搭載の新型を用意すべきだったかもしれません。初めからPHVという付加価値の付いた新しい高級車ならば、容量の大きいバッテリー搭載で必然的に高くなる車両価格にも納得が付きやすくなりますし、今のトヨタ・ブランドならば高級車でも新型ならば相当数が見込めたかもしれません。

プリウスPHVは車両価格を抑えようと多くの部品をHVと共用化しようとしている節がありますが、中途半端に高い価格帯が大いに気になり、それより高額になったとしてもオールニューモデルの方が今後、本気でPHVを展開していく上では得策だったのではと思えてきます。

例えば、ほぼ同時期に販売されたCーHR。
HVの代わりにPHVがあったと想像すると、高い価格であっても納得して購入する層が相当あるのでは・・・ と思えてきます。


最後に余談ではありますが、プリウスのPHVとHVの関係は、
日産のリーフ(EV)とe-POWERの関係によく似ています。

外部充電の手間を取り除きガソリンで走る電気自動車を低価格で実現したノート・e-POWERは、国内販売1位を疾走中です。

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