ガソリンのオクタン価 日本もそろそろ引き上げ時


欧州メーカーから入ってくる外車は、
洩れなくプレミアム・ガソリンを指定されます。

高級外車ならいざ知らず、
経済性も考慮に入ってくるVWポロなどの小型外車を選択する場合にも
値段が張るプレミアム・ガソリン必須とは痛いところ。
 

では、なぜこうなるのかというと、
欧州の一般的なガソリンは、日本と比べるとオクタン価が高いためです。



オクタン価とはノッキング発生の耐性を数値で表したもの。

エンジンに効率良く仕事をさせようとした場合、圧縮比を高くするのが一つの方法となりますが、圧縮比を上げ過ぎるとノッキング(自然着火)という異常燃焼が発生しやすくなります。

高いオクタン価は発火点が高くなりノッキングが発生しにくく、
圧縮比を高く設定することができます

 

なので、欧州で一般的に使われるオクタン価の高いガソリンに合わせてエンジンを設計すれば、性能が高いものが出来上がるわけです。

ところで、欧州メーカーが日本のレギュラー仕様に変更して輸出しないのは、
わざわざコストを掛け、おまけに性能を落とすような変更では
割に合わないとの判断なのでしょう。
 

オクタン価を高くした場合の効果

オクタン価を高くすれば圧縮比を上げらます。その結果、
  ● 出力・トルクのアップ
  ● 燃費の向上
が期待できます。
 

ひとつの例として、スズキの2車を比較してみます。
両車ともK10C型とう同じ形式のガソリン・ターボエンジンですが、
指定される燃料が違ってきます。

バレーノはインド生産の逆輸入車で日本をメイン市場とはみなしていないため、
プレミアム・ガソリン仕様のまま。

プレミアム・ガソリンはレギュラーと比べると、
  ● 出力で9ps(約9%)のアップ
  ● トルクで1kg・m(約7%)のアップ
  ● 燃費は同じ

この差はエンジンルーム内の吸排気系の取り回しや冷却系の違いかもしれず、
使用ガソリンの違いからくるものとは言い切れませんが、
燃費を同じとしながらも、明らかにプレミアム仕様のバレーノの方が性能アップしています。

ちなみに、プレミアム仕様の方がターボブーストをより高く設定(実質的な圧縮比アップ)することが可能となってきます。
圧縮比は両車とも10.0と同じですが、もしかするとブースト設定を変えているのかもしれません。
 

 
さて、資源エネルギー庁の資料によると、

「日本のレギュラー・ガソリンの実質的なオクタン価を現在の90から95に引き上げてエンジン性能を見直した場合、燃費が3~4%改善する」

とのことですから、今世界が躍起になっているCO₂削減に効果が期待できます。

性能・燃費の向上が期待できるのなら、
当然、日本のレギュラー・ガソリンもオクタン価の引き上げをしたらと、思いたくなるところでありますが ・・・

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オクタン価を引き上げるに当たっての考慮点

日本のレギュラー・ガソリンのオクタン価を引き上げようとした場合、
当然、石油会社や自動車メーカーなどの対応が必要となってくるわけですが、
その他にはどの当たりを考慮する必要があるでしょうか?
 

①ガソリン価格

現在、レギュラーとプレミアム(ハイオク)との価格差が1Lで10円ほどあります。

但し、プレミアムガソリンには通常、エンジン吸気弁の清浄添加剤も添加されておりオクタン価の違いだけで10円の差とはいいにくところ。

また、オクタン価の引き上げで燃費が数%改善するとすれば実質的な負担は更に縮まってきますから、価格上昇はさほど気にするレベルではなくなるのかもしれません。
 

②CO₂削減効果

オクタン価を引き上げることによって、
クルマの燃費向上によりCO₂削減効果が期待できるわけですが、

オクタン価を上げるために添加する向上基材を製造する過程でCO₂が発生してしまうので、このこともコミコミで勘案する必要があります。

今のところの試算では、クルマの燃費向上によるCO₂削減効果の方がわずかながら大きいとされていますから、オクタン価を引き上げる意義はあるようです。
 

③世界のガソリン事情

日本の場合、JIS規格でのオクタン価は1986年以降変わっておらず
レギュラーが89以上、プレミアム(ハイオク)が96以上なっていますが、

実際に販売されているものは、
レギュラーが90、プレミアム(ハイオク)が100というのが多数です。


そして、米国と欧州では3段階のオクタン価が存在します。


※上の表は多少古いものの、平成18年の資源エネルギー庁の資料を参考にさせて頂いたものです
 

米国では92、欧州では95のオクタン価のものが8割強を占め
メインとなっています。

どうやら、日本のレギュラー・ガソリンのオクタン価が低いままなのは、
同じくオクタン価が低い米国とのしがらみがあるようです。


もし、日本のレギュラー・ガソリンが欧州と同等の95に引き上げられ、
それに合わせて日本のメーカーがクルマを開発・製造したとすると、
主要輸出先の米国への対応が厄介になってきます。


ところが昨今、その米国で動きがありました。
「米国政府はレギュラー・ガソリンのオクタン価を91から99へ引き上げを検討している」

とのことで、もし、これが実行に移された場合、日本もこれに追従することが十分考えられます。



さて、各国でバラバラだった燃費測定規格がWLTCモードという世界統一規格になることが決定しています。
そして、日本も2018年度から従来のJC08モードから変更となります。

この燃費測定規格の見直しは元を辿れば地球温暖化対策の一環。

ガソリンもこれに見習って世界統一規格で動いてほしいところです。

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