「燃料改質エンジン」の仕組みと効果


”燃料改質” とは何とも怪しげな響きではありますが、自動車メーカー各社が本気で取り組んでいる新技術です。

燃料改質エンジンは、ガソリンから「水素」を取り出し本来の混合気に混ぜることで燃焼速度を高めエンジン燃効率を改善します。

「熱効率の向上が高いわりにコストが低い」
ことから導入のハードルが比較的低く、数年後には登場しそうな気配です。
 

仕組み

ガソリンは炭素(C)と水素(H)の化合物である炭化水素です。
「燃料改質エンジン」はこのガソリンを触媒に通過させ水素(H)を取り出します。

構造は従来のEGRに改質用のガソリン噴射装置と触媒を設置します。
①EGRの通過点に改質用のガソリンを噴射
②噴射されたガソリンを改質用の触媒に通貨させ水素を取り出す
➂取り出した水素を吸気ポートから入れ、本来のガソリンと空気の混合気に混ぜ燃焼



ちなみに、EGRを利用する理由は2つ考えられます。
● 排気の熱を利用し触媒の温度を上げ化学反応を活性化させる
● EGRを搭載した車種が多く場所を取らず設置しやすい

排熱を利用し化学反応を促進し有益な水素を取り出しているといった観点から、排気損失の低下になっているとも言えそうです。

スポンサーリンク
 

どのような効果を狙っているのか?

水素の特性は、
  ● 燃焼速度が速い
  ● 拡散が早くわずかな量で燃焼する
  ● 着火しやすい

混合気に少量の水素を混ぜただけで着火しやすくなり燃焼速度が高まりから、何かと着火や燃焼速度の遅さがネックとなってくる「大量EGR」「リーンバーン」に有用となってきそうです。
 

①大量EGR

現在のEGRは排気ガス浄化というよりも燃費改善が主な目的となり、多くのクルマに搭載されています。

EGRにはポンピングロス低下効果により燃費を大きく改善するためEGR量は増加傾向にあり、充填率を高めるため高熱の排気ガスをクーラーで冷やすクールドEGRが主流となっています。

そして従来20%程度だったEGR充填率が、昨今は30%近くまで混合する例も見られます。

しかしながら、ほとんど酸素を含まない不活性の排気ガスを吸入気に大量に混ぜると、燃焼速度が落ち出力が低下しドラビリティの悪化となってきます。

そこで水素を混入し燃焼速度を高めることで、更にEGRの充填率を高めることが可能となってきます。
 

②リーンバーン

燃料改質エンジンは「大量EGR」に重点を置いているような気配が現状ありますが、リーンバーン(希薄燃焼)にも有効となってきそうです。

リーンバーンもポンピングロスの低下、少ない消費燃料といった点から燃費改善となり、直噴やスワール方式など様々な形式のリーンバーン・エンジンが誕生しましたが、

空気を大量に含む希薄な混合ガスのため着火性が悪く燃焼速度が遅いといった点から「大量に発生する窒素酸化物」「スス発生・付着」の処理にコストがかさみ、
更に出力が低いため高負荷時にはリーンバーン状態を維持できず、実燃費が思いのほか良くありませんでした。

結局のところリーンバーンは、
「高いコストに見合うだけの燃費改善効果を出せない」
ことから姿を消し、現状リーンバーン・エンジンをみることはありません。

リーンバーンは着火性の悪さと燃焼速度の遅さに苦しんだわけですが、
「水素」を希薄な混合気に混ぜるだけで根本的に解決できる可能性があります。


また、燃料改質エンジンはコストが低いことも大きなメリット。

必要な装置はEGRに付加する燃料改質用の
  ①燃料噴射装置
  ②触媒
のみで、設置スペースも多く必要としません。



今回は水素を生成する燃料改質エンジンをみてきましたが、
この他にもエーテルなどの別の物質を生成し、

 ● 燃料のオクタン価を高め高圧縮比化
 ● HCCIの自己着火性を向上

などと様々な面からアプローチが検討されており、「燃料改質」には大きな可能性を秘めているようです。

スポンサーリンク

「HCCI」は次世代ガソリン車の本命として登場する
直列6気筒エンジン復活の鍵はダウンサイジングの流れ

Pocket
LINEで送る