EVにもトランスミッションを搭載する時がいずれ来る


今のEV(電気自動車)にはトランスミッションがありません。

リーフにも、テスラにも、そしてe-POWERのノートにも
現在市販されているモーターのみの力で走るクルマのほとんどには
トランスミッションがありません。

ですが、いずれは普通に
トランスミッションをEVに搭載するようになるかもしれません。
 
 

トランスミッションはなぜ必要?

そもそも、エンジン車にトランスミッションが必要なのは

エンジンは
 ● パワーバンドが狭く
 ● 回転が上がると急激に騒音・振動が高まり
 ● 回転方向が変えられない
ため。

負荷が大きく掛かる発進時はある程度回転数を上げてやらないと、
力が足りずエンストしてしまいますし、

速度が安定し巡行速度になった時、
エンジン回転が高いままだと騒音・振動が不快で燃費も悪化します。

そして、バックする時には逆の回転をギアで作り出す必要があります。

トランスミッションはエンジン車にとって
 ●力を出しやすい回転数
 ●快適な回転数

を選択しながら走行するのに必要不可欠な装置です。
  

かなり異なるモーターの特性

下の図は、
世界一のEV販売量を誇った初代リーフ赤線)と
2.0L エンジンのスバル BRZ青線)の
おおよそのトルクカーズを比較したものです。
     【初代リーフ】
                   最大トルク  28.6 kgf・m  ( 0 ~ 2730 rpm )
                   最高出力    109 PS        (2730 ~ 9800 rpm)
    【BRZ】
                    最大トルク  21.6 kgf・m  ( 6400 ~ 6800 rpm )
                    最高出力      207 PS       (7000 rpm)


パッと見ても、両車のトルクの出方がかなり違うことがわかります。
そして、EVにはこんな特徴があると言えそうです。

①低回転時のトルクが非常に大きい
   
 最大トルクを回転を開始して即時に出している

②トルクは回転が上がるほど小さくなる

 そのため・・・
 ● 最大トルクは大きいが、出力(馬力)はそれほどでもない
 ● 回転数をむやみに上げても出力(馬力)は上がらない
   ※出力(馬力)はトルクと回転数の積

 
③パワーバンドが広い

 最高出力を回転数2730 ~ 9800rpmという広い範囲で出している


④エンジンよりも高回転まで回る


 最高回転は10,000rpmを少し超える


⑤モーターは制御がやり易い

 
トルクカーブの形が直線となだらかなカーブで構成され
 いびつになっていないことからも、
 きめ細かな出力制御が可能なことがわかる


その他、
⑥騒音・振動が少ない
⑦モーターは回転方向を簡単に変えられる

といった特徴があります。

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EVは減速比固定で低速から高速まで走っている

トランスミッションが無い初代リーフのファイナル・ギア比は 7.9377

ちなみにBRZ(マニュアル車)の減速比は
 ● 2速(2.188) × ファイナル(4.3) = 9.4084
 ● 3速(1.541) × ファイナル(4.3) = 6.6263

なので、リーフはBRZの2速と3速のちょうど中間当たりの減速比で
固定されていることになり、

この減速比ひとつだけで
発進、加速、巡行、高速走行の全てをこなしていることになります。



こんなことができるのも、モーターは
 ●大きな低速トルク
 ●超高回転
 ●高回転でも少ない騒音・振動
 ●逆回転が簡単(バックギア不要)
だから・・・

固定された減速比が発進にしては小さめながらも、
低回転時の大トルクで問題なし。

高速走行には大きすぎる減速比でも最高速度が140㎞まででいいのなら、
モーターのスムーズな超高回転でカバーできるというわけです。

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それでも、EVにトランスミッションが必要な時が来る

トランスミッションが無くても実用上問題ないようにもみえるEV。

ですが、トランスミッションを搭載することで
 ● 最適なモーター回転領域を積極利用することが可能
 ● 必要とされるトルクを減らすことも可能

となり、次のような効果が期待できます。

①高速域の加速と最高速度の向上
 高回転域のトルク低下をハイギアードのギアで
 カバーすることができる
 また、回転速度を下げられ冷却対策が楽になる

②航続距離(電費)の向上
 効率の良いモーター動作領域を利用しやすくなる

③モーターの小型化
 トルクの必要量が減れば小型化が可能
 小型化は慣性が少なくなり、電費・上レスポンスの向上にもなる


とかく航続距離の短さを指摘されるEVにとって、
少しでもこれを改善することは最重要課題となりますから
電費の向上という点は無視できないメリットとなってきます。



 
それでは、EVにとって何速程度が最適なのでしょう?

トランスミッションの搭載によりデメリットとなる
コスト、スペース、伝達効率を考慮すると
段数は少ない方がよく、

モーターのパワーバンドの広さも加味すれば
2速のトラスミッションでも十分な効果が期待できそうです。

以前より、各社サプライヤー、自動車メーカーは
EV用トランスミッションの開発に取り組んできており、
いくつかの提案が見受けられますが、

その内容を総じてみてみると、
2速トランスミッションをモーターと同じ筐体に収め
コンパクトにユニット化したものが目立ちます。
(その中には、インバータまでも内蔵してくる提案もあり)

現状の開発状況から察すると
将来、EVにトランスミッションを搭載するとなった時
2速という線が濃厚で、

その段数の少なさ・シンプルさから、従来にはなかったユニークな機構の
トランスミッションやクラッチで登場してきそうです。


世界の各メーカーがEVシフトを発表する中、
数年、数十年後にはそれなりの数のEVが登場することとなりそうな気配です。

そして、各社からEVが出揃い差別化が必要となった時、
EVへのトランスミッション搭載が始まっていくのかもしれません。

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