変わるEGR。排気ガス対策から燃費改善へ

EGRの効果

EGRの効果は、

 ①窒素酸化物 (NOx)の低減
 ②不完全燃焼で発生した有害物質の低減
 ➂ポンピングロスの低下
 ④冷却損失の低下
 ⑤ノッキングの防止


がありますが、EGRの効果を理解するに当たり重要なポントは、
「再循環した排気ガスには、ほとんど酸素が無い

という点です。
それでは、詳しくみていきます。
 

①窒素酸化物 (NOx)の低減

NOxは燃焼温度が高温の場合に発生しやすくなります。

EGRにより酸素を含まない排気ガスを吸入気と混合することで
酸素濃度が低くなり燃焼温度が低下し、NOxの発生を抑えることができます。

なおクルードEGRの場合、高温の排気ガスを冷却して戻すので更に効果が大きくなります。
 

②不完全燃焼で発生した有害物質の低減

完全燃焼できずに発生する排気ガス中の有害物質には【CO、HC、PM】の3つがあります。
排気ガスの一部とはなりますが、これを戻して再燃焼することで低減することができます。

 

➂ポンピングロスの低下

スロットルを絞るということは、人が細いストローから空気を吸うようなもので力が要ります。

これがポンピングロスの一つでエンジンに余分な仕事をさせエンジン回転の邪魔(損失)をしているわけですから、燃費を悪化させます。

人が大きく口を開けて空気を吸うように、エンジンも回転が低かろうが高かろうが、
常にスロットルを大きく開けて吸気できれば余分な力(ポンピングロス)が低下します。


そこで、エンジン回転に合わせEGR量を加減し混合気の酸素量が調整できれば、理論的にはスロットルバルブの開度は常に大きく取れることとなります。例えば・・・


A.エンジン回転を低くしたい時

酸素は少量でなくてはならないので、通常はスロットルを絞る
  ⇩
スロットルを絞る代わりにEGR量を増やして酸素を少なくしてやる
  ⇩
スロットルは大きく開けられる


B.エンジン回転を高くする時

酸素が多く必要なのでスロットルを大きく開ける
  ⇩
酸素は十分だからEGR量は少なくする
  
スロットルは大きく開いたまま


ポンピングロスの低下は燃費を大きく改善する効果があるため現在、
EGRを導入する一番の理由となっています。
 

④冷却損失の低下

EGRは
● 混合気の酸素量が低下
● クールドEGRの場合、冷却された排気ガスが混合される

ことから、シリンダー内の燃焼温度が抑えられ冷却損失が低くなり結果、燃費が改善されます。
 

⑤ノッキングの防止

エンジンはシリンダー内が高温になりノッキングが発生しそうになると、点火タイミングを遅延させるなどして防止しますが、出力低下・燃費悪化の弊害が出てしまいます。

シリンダー内の燃焼温度を押さえるEGRはノッキング防止となり結果、この弊害を避けることができます。



排気ガスの浄化目的で広まったEGRでしたが、現在は燃費改善効果へと重心が移ってきました。

そして、燃費規制(CO₂排出量規制)対応が最重要課題となった自動車メーカーにとって、EGRは昔以上に欠かせない技術となっています。

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