変わるEGR。排気ガス対策から燃費改善へ

 

EGRは排気ガス対策としてスタート

排気ガスの一部を再び吸気側に戻す「EGR」(排気再循環システム)。

導入が始まったのは、排出ガス規制が本格的になってきた1973年(昭和48年)頃、主にNOx(窒素酸化物)の抑止に効果があるとして広く採用されてきました。

その後、更に強化された排出ガス対策として1978年(昭和53年)にガソリン・エンジンで広まってきたのが「三元触媒」

この触媒は名前から察しできるように
①窒素酸化物 (NOx) ②一酸化炭素(CO) ➂炭化水素(HC) 
の3つを、1つの装置で同時に除去できるすぐれものです。



ちなみに現状、排気ガスに含まれ問題となる有害物質は

 ① 窒素酸化物 (NOx)
 ② 一酸化炭素(CO)
 ➂ 炭化水素(HC)

 ④ スス (PM)
 ⑤ 二酸化炭素 (CO2)


※当初問題視されていた硫黄酸化物 (SOx)
は、燃料の精製段階で硫黄分が大方除去されるようになり大幅に改善されています。

④スス (PM)の発生はもともとガソリン・エンジンは少なく、本格的な対策が必要なのはディーゼルの方ですが捕集フィルター等の装着で対策が進んでいます。


そして、今もっとも問題となっているのが⑤の二酸化炭素 (CO2)。

当初、クルマが出すCO₂は人体への直接的影響は比較的少なく問題視されていませんでしたが、1980年代後半より地球温暖化が話題になり始め、CO₂の温室効果が地球温暖化の主たる原因と認知されるようになり、世界規模での対策が必要との認識が深まっています。
 

EGRの役割は燃費改善にシフト

CO₂が厄介なのは、クルマに装着できる小型の除去装置がなく燃料を消費する量に比例して増えることから、CO₂の削減対策は燃費を改善するしか現状方法がありません。

そして世界各国では燃費規制(CO₂排出量規制)が布かれ厳しさを増しており、各自動車メーカーは燃費改善が最大のテーマとなってきました。


さて、現在のクルマの排気ガス対策はEGRと三元触媒の併用が定番となっており、EGRは依然として触媒での完全対処が困難なNOx(窒素酸化物)除去という分担を受け持つものの、性能向上著しい三元触媒のおかげもあって排気ガス対策は一応一段落といった処に、今度は地球温暖化対策として大幅な燃費改善にメーカーは迫られてるというわけです。

そんな中、
エンジン効率向上にも大きな効果があるEGRは、排気ガス浄化から燃費改善に重点が移ってきました。

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EGRの仕組み

EGRを大別すると「内部EGR」と「外部EGR」の2種となります。
 

①内部EGR

吸・排気バルブのタイミングをずらしシリンダー内で直接、排気ガスの一部を吸気側に送ります。そのやり方は以下の2通りです。

A.吸気弁の早開け
排気行程が終わる寸前の上死点手前で吸気バルブを早く開け、吸気ポートへ排気ガスの一部を送り込む

B.排気弁の遅閉じ
排気行程が終了して吸気工程に移り、ピストンが上死点から下降し始めてもしばらく排気バルブを開いておき、排気ポートにある排気ガスの一部をシリンダー内に取る込む

可変バルブを搭載するエンジンの多くは、この内部EGRを利用しています。
 

②外部EGR

排気ポートと吸気ポートをパイプで接続し、そのパイプの途中に設けた調整バルブで戻す排気ガス量を加減します。

昨今は戻す排気ガスの冷却を目的にEGRクーラーを装着した「クールドEGR」がポピュラーとなり、装着例が増えています。



内部EGRの場合、可変バルブを搭載していれば導入は比較的簡単ですが、
 ● EGR量の調整が難しい
 ● 高温の排気ガスを直接戻すためシリンダー内が高温になり、
  
ノッキングが発生しやすい

といった短所があります。
この2点とも解消したのが「クールドEGR」といえます。

クルードEGRは冷却して排気ガスを戻すことから、シリンダー内の温度上昇を抑え、更にガス密度が高まることからEGRの充填率を高めることができます。

従来のEGR量は20%程度でしたが昨今は30%近くまで混合する例もあり、EGR量は増加傾向にあるようです。

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