マツダ・クリーンディーゼルの「低圧縮比」が意味するところ

 

「低圧縮比」を実現した2つの技術

他社のクリーンディーゼルの多くが15.5~17.0の圧縮比であるのに対し、
2種類あるのマツダのSKYACTIV-Dは以下の通り圧縮比が低くなっています。

● 1.5L → 14.8
● 2.2L → 14.0

そもそもディーゼルがガソリンエンジンに比べ圧縮比が高いのは、高温高圧縮で軽油を自然着火させるため。

そして環境問題がクローズアップされている今、高温高圧縮で一番よくないのがNOx(窒素酸化物)という有害物質の発生が多くなること。 このため通常のクリーンディーゼルは、NOxを除去する高価な後処理装置を付加します。
 



ではということで、マツダのクリーンディーゼルは「低圧縮比」を試みたわけですが、そうなると自然着火が難しくなり、

①エンジンが冷え切った時に始動性が悪くなる
②暖気運転中に回転が不安定になる

といったことになってしまいます。

そこで、これを2つの技術で解決してきました。

①エンジン始動時 は「マルチホールピエゾインジェクター」で対応

1回の燃焼当たり最大9回の噴射ができるインジェクターで、混合気を低温時に最適な濃度に設定が可能。グロープラグと併せエンジンの始動性をよくしています。

②暖気中は可変排気バルブ機構」で対応

空気の吸入行程時に排気バルブをわずかに開き、高温の排気ガスを取り込むことでシリンダー内の温度を保ち暖気中の燃焼を安定化します。

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広範囲に及ぶ「低圧縮比」の恩恵

高価なNOx後処理装置を必要としないクリーンディーゼルとしては、マツダのSKYACTIV-Dが世界初となりました。

そして低圧縮比はその他にも様々なメリットを与えています。

● エンジンの軽量化

低圧縮により従来より要求される剛性が低下
これにより、各部品の小型・軽量化となり機械抵抗損失も減少。
「高回転まで回る軽快な吹け上がり」「低振動・低騒音」に繋がっています。

● 理想的な燃料噴射タイミングの実現

エンジンは圧縮工程の上死点付近で燃料噴射をして爆発を起こすのが理想的といえますが、従来の高圧縮なディーゼルエンジンでは、上死点付近が高温高圧過ぎて燃料の拡散が不十分となり異常燃焼が発生してしまいます。このため、上死点を経過しピストンが少し下がった時点で燃料噴射を行っていました。

片や低圧縮化で上死点付近での燃料噴射が可能となり、実質的な膨張率が増加し仕事量が増加。
燃焼効率が向上しNOxとPM(すす)が低減すると伴に燃費が向上しています。

● 低価格化

NOx後処理装置の不要化、エンジン部品の小型化で価格を抑制。


トルクが強いというディーゼルの特色を残しつつも、
「うるさい」「汚い」「回らない」というディーゼルのネガの部分を大きく改善してきました。

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